リッパ工法   Ripper
D11によるリッピング

写真は、100t級ブルドーザD11に装着したアジャスタブル式マルチシャンクリッパでリッピングを行っているところです。

リッパ工法は、本来、軟岩掘削を効率的に行うものでしたが、超大型ブルドーザの出現で、硬岩領域の一部まで掘削可能範囲を拡げました。
硬岩掘削は、一般的に発破工法が経済的です。 しかし、発破公害が懸念される現場では、施工数量、硬さ(弾性波速度)等を勘案して導入が検討されます。

リッパによる掘削性はリッパビリティと云います。 リッパビリティは弾性波速度との相関が強いので、弾性波速度で表します。 弾性波は、硬い物質では速く、軟らかい物質では遅く伝わる性質があります。 この性質を利用して、岩片の硬さを判定できますが、更に岩盤の長い測線で計測すると岩盤の亀裂等を含めてマクロ的に岩盤のリッパビリティを判定できるのです。

表-1: リッパビリティ(弾性波速度とリッパの可能範囲)
リッパビリティ: 弾性波速度とリッパ掘削可能領域

弾性波速度が不明なときは、予測精度が落ちますが、他の地質データから換算、若しくは推測します。

リッパ工法の騒音と振動

リッパ作業時の騒音と振動の例を参考に示します。
図-1は、土取場における軟岩掘削と積込みの作業の騒音で、100t級ブルドーザによるリッピング作業と5m3バックホウによる積込み作業の併行作業時における騒音レベルの距離減衰を示しています。
距離は複数機械の騒音の重心位置(音響中心)からの距離です。
パワーレベルは、50m前後の地点の3つの測点で得られている等価騒音レベルを基に算出すると117dBとなります。

図-2は、硬岩掘削の測定例で、70t級ブルドーザと5m3バックホウの組合せです。
パワーレベルは、音源を囲んだ25〜28m間に分布する4測点の等価騒音レベルを基に算出すると115dBとなります。
また、等価騒音レベルと時間率騒音レベルLA5との差の平均値は、図-1の場合で約5dB、図-2では約4dBです。

図-3は、現場3個所の軟岩掘削工の振動レベルの距離減衰を示しています。
図中の実線は、環境アセスメントに基づく建設機械の稼働に係わる予測式で、5m地点における振動レベルを基準点振動レベルとしています。
軟岩掘削工の振動レベルは5m地点で45dBです。 そして、振動測定距離はリッパブルドーザの稼働中心位置を原点としています。

リッパー掘削の作業騒音の距離減衰(軟岩)
図-1 軟岩掘削・積込(100tBD+5m3BH)作業騒音の距離減衰

リッパー掘削の作業騒音の距離減衰(硬岩)
図-2 硬岩掘削・積込(70tBD+5m3BH)作業騒音の距離減衰

リッパー掘削の作業振動の距離減衰
図-3 軟岩掘削工振動の距離減衰

   掘削性 Excability.pdf
   建設機械の騒音と振動
                                                          山ア建設

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